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2009年11月10日

2年経った

今月で、2年にもなる転職活動は、未だに出口が見えて来ない。だが、その間に思った事、考えた事、感じた事は幾つもある。
その中の数点は、今までにエントリにしているのだが、今回はその中で、この国のものづくりの現場で起こっている「人の流れ」について派遣を主眼に置いて語ってみたい。もちろん、小生個人の感覚でのもの云いである事は、言を待たないが、2年近くの間考え続けて来た事でもある。
 
そして、小生の転職は今回が初めてではない事も、付け加えておくべきだろう。
23才で大学を休学して社会に出てからこの方、十指に余る回数、職を替えているのである。実際、小生の履歴書には、正直に書くと普通の用紙には書き切れない程の職歴が並ぶことになるため、特段の実績の無い短期の職歴を、省略している程なのだ。(本当はマズいらしいのだが)
そんな小生なので、単純に「転職する事」に特別な感慨は無い。面接した企業だけでも両手両足に余るのだから、当然だ。(今回の転職では、エントリしただけの企業数も含めれば100社を超える)
だから戸惑いは無い上、今の転職戦線の動向も冷静に見る事が、ある程度は出来ている心算なのである。

一昨年の11月から今まで、求職活動をしてきて、少なくとも中小の製造・技術系企業が、その頃から余裕を失ってい続けているのが、全般的な傾向として判る様に思うのだ。
景気が好況とされていた昨年5月までから、一気に9月頃にかけて急降下してしまったため、未経験者を採用して教育しようという余裕が、両極端の位置で無くなってしまっていると思われるのである。どの求人メディアを見ても、文字通りの即戦力以外、採る気が無い様な求人ばかりなのである。
昨年5月までの好況の時には、まるでバブル期に中小で人手不足倒産が続発していた事を思い出すような、多忙すぎて完全に即戦力でなければ新人を受け入れている余裕を失くしたメーカーの姿が垣間見えた。うまく面接で自分を売り込めて、好感触を得られたのが、総て人材企業だった事でも、判る。又、職安の相談窓口から電話した際、こちらが業界経験が無いと言っただけで、門前払いを喰った事も多い。わずかな差異に慣れ、多少の未経験分野を勉強し直している余裕も与えられない企業ばかりだという事なのだろう。
こういう企業に対して、派遣あがりの中年者は圧倒的に不利だ。業界経験が無いか、情無い程少ない事が多いからである。
景気が急降下した5月から9月の短かい期間、企業は全般的に専門職の求人を手控えていた様だ。特に中高年向けの求人が冷え込んでいた様に感じた。好況が落ち着いたのか、アメリカの低所得者住宅ローンの問題が影響した景気が反落(世界的バブル崩壊)するのか、様子見していた経営者が多かったという事なのか。

そしてその間に「派遣切り」が始まった。

今までも小規模な派遣切りはあちこちであった。派遣とは元々そういうもので、本質的にはオーキー等の放浪者と変りが無い労働者なのだ。
今回が違うのは、規模が大きすぎ、その上彼等が流れて行く先が無かった事である。
さらに10月以降の新卒内定取消し、派遣の中でも正社員組の特定派遣がリストラされ始める。
もっとも良く見える世界だっただけに、9月半ば位までは仕事があったのは判っているのだ。10月半ばあたりまでで、営業が新規にひろって来る案件に無茶な内容が増えて来て、11月に入ると、少なくとも中高年向けは激減した。小生個人では、清水行きが最後の案件になったわけだし、その間のハローワークや人材銀行での求人情報(件数)も、急速に減り、そして年明けまで低迷している。
2月以降になって少し増加した様だが、内容は一段と厳しくなった。経験者を必須条件にしている企業が、さらに増え始めたのである。それは今も変化が無い。人材企業ですら、特定派遣なのに案件対応で、とにかく雇う、という姿勢の会社は無かった。適合案件が無ければ雇わない(=雇えない)のである。

この先もしばらく、この状況に変化は無いだろう。技術者が転職するには厳しい世の中になったし、新政権もこの傾向には何の役にも立つまい。
何か特化した業界経験があれば、まだ採用側の目を引けるのだが、実はそういう、特定の業界経験を積んでいる派遣技術者は、稀なのだ。つまり派遣にだって守秘義務はある訳で、同じ業界で連続して勤務するのは、はばかられる事なのである。その点では、そういう派遣技術者は個人として守秘契約を客先企業と締結していたりするので、直近が同業他社勤務だった派遣技術者は、実際にはひどく使い難い存在になるのだ。
採用側がそこまで考えていると思えば、技術者という商売は意外に機動力に制約がある事になる。
それでも飯は喰わねばならない。だから、転職活動はするが、特化していない、一般的な機械設計技術を前面に押し出して自分を売り込む事になるのだ。
こうなるとベテランなるが故にドングリの背比べ。中高年技術者同士の転職競争は激化する事になる。
だから48才で転職活動を始め、50才の誕生日を過ぎた今も、職を探している。

今でも交信がある元同僚のM氏やY氏も、厳しい後退戦を強いられていると云う。先日、同じく元同僚のT氏が再就職に成功したが、前職をクビになってから7箇月が経っていた。しかもどちらかと云えば人材企業と云ってもいい様な、独立系の設計事務所なのだ。小生より5才若く、学歴も上(大卒)のT氏でこの通りである。

我々中高年派遣技術者に、「次」はあるのだろうか? 出口が見えて来ると、いつまで信じ続けられるだろうか。
まだこれからも、小生は職を求め続けるが、それが設計技術者かどうかは、そろそろ判らなくなりつつある。
今月になって、少し景気が上向いてきた様に思うのだが、まだ実態が見えて来ない。
この国のものづくりにとって、小生の様な者はまだ必要なのだろうか?

あまり考え込まない様にはしている心算なのだが、つい考えてしまう、オッサン技術者なのであった。

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この記事へのコメント
はい、そのY氏です。

本ブログを拝見しておりました身としては、求職活動を目の当りにしていて、さらに自ら同様の立場になって、この記事に思いっきりうなずきながら読んでしまいました。

想像するに、職歴(の数)の順に並べると、T氏=M氏<Y氏(私だ)<檀那院殿 と言った感じでしょうか。過去に所属会社で5社、派遣いれて10社以上行ってますが、どうも檀那院殿には負ける?…

歳は勝ってますね(自慢できない)

その数の私ですら、求職の中心軸をどこに置くのか、右往左往しています。

因みに、別のY氏(ソフトウェア技術者、6月解雇)にちょっと声かけしたら、やはり同様の悩みを抱えている模様です。中高年技術者、冬の時代です。
Posted by 吉田B作 at 2009年11月10日 16:33
B作殿

さ~て、職歴については、今度省略なしの履歴書でも持ち寄ってみようか?
下手したら同じ数だったりして…。

まぁ冗談はともかく、今も知財関係にも手を拡げて応募を繰り返してるけど、どうにも厳しい。先月末にも面接に行ったけど、やっぱり人材会社だったよ。

とにかく、「自分は世の中に必要なのか?」 なんて考え始めたら、またぞろうつ病になっちまいそうだから、考えないようにするのが吉だね。
と、判っちゃいるンだけどねェ……。
とにかく、足掻くだけ足掻いてやろうよ。
Y2氏は会ったこと無いと思うけど、一般的にソフト屋さんの方が責任感が強くて精神的に脆いヒトが多いから、要注意だね。

本物の冬も迫って来た。
御身大事に。
Posted by 壇那院 at 2009年11月11日 02:02
しっかりした文章を書かれている檀那院さんは、それなりの技術をお持ちで、人間もしっかりされている方だと思われるのに、2年も求職活動をされているのですね。それはそれで、すごいことですね。
私は、電子関連の中高年技術者でして、夏にやっと仕事にありつけたのも束の間、3ヶ月で早くも引導を渡されてしまいました。
仕事の事で、言われるのならまだしも、人間性を非難されてしまうと、もの凄く落ち込んでしまいます。
社会人になって30年余り、この間に経験したいろいろな事が、「自信」となるはずだと思っていたのに、残念ながら何もないように思えてしまいます。
家族の事を考えると、少なくともあと5年は頑張らないといけないのですけど。でも、それがまたプレッシャーになったりして。

と、ため息ばかりの1日でした。
Posted by kdesign at 2009年11月15日 17:40
kdesignさん
「しっかりした人」と云われると、面映ゆいですが、ありがとうございます。
実際、今までの転職先でも、貴殿に同じく人間性を問題にされてクビになったところもあります。小生にも反省材料はあったのですが、やはり凹みましたね。
でも、それも「期待と違っていた」という言い方でしたから、単純にミスマッチだったんだ、と諦められました。
あからさまに非難されたのなら、考え方はどちらかというと、「3箇月で用は済んだけど、スキルに問題は無いから、人格に的を絞って難癖つけてすぐ辞めさせよう」 という事だったのだと解釈可能です。要するに、応援に派遣を入れたいけど、派遣だと派遣会社のワンクッションが入って、見極めがしにくい上、コンプラ上は紹介された人間を一度は入れなくてはなりません。直接人選する面倒をかけてでも、即戦力で入れられるので、社員募集した、という人員戦略もあり得るのです。それに、普通に肩叩きしてたら、辞めるまでに時間がかかるために経費がかかります。考える余裕を与えてしまうため、下手に労働基準監督署にでも駆け込まれたらおおごとですから、その点でもスピード重視で勝負をかけた、と考えられるのです。(技術者派遣が普及する以前、そういう目に遭った事があります)

頑張って下さい。小生にはそれしか言葉がありません。
Posted by 壇那院 at 2009年11月17日 22:33
ご丁寧なコメントを頂きありがとうございます。
少し勇気付けられました。
本当は、海でも眺めてボーっとしていたいところですけど。

これからも、時々寄らせてもらいます。よろしく。
Posted by kdesign at 2009年11月19日 17:40
kdesignさん
こちらこそ、よろしくお願いします。
海、いいでしょうねぇ。
小生は山派なので、馴染みの山にでも行って高山植物でも眺めたいところですが、もう馴染みの奥多摩も山には雪が降ってるんだろうなぁ…。
Posted by 壇那院 at 2009年11月20日 19:21
 
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    コメント(6)