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2008年10月10日

ネカフェ難民の悲劇

小生が博多に行った日の未明に、大阪で火事があったそうだ。ニュースを最初に見たのは、新幹線の中での電工掲示だった。
15人もの人が亡くなったとのこと。
なんとも痛ましい事件である。

が、その15人の死者のうち、12人が、丸2日経っても、身元が判明していなかった。
小生は嫌な予感がしたが、4日の報道を見て、予感が当たってしまったことを確認した。ひどく嫌な気分である。

彼等の大半が、いわゆる「ネットカフェ難民」だったらしいのだ。
 
下記のニュース記事を読んだ時は、暗くならざるを得なかった。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/e20081004056.html

『大阪市浪速区の個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」の放火事件で、犠牲者や重症者の多くは免許証や携帯電話を持っていなかった。キャッシュカードや電車のICカード、電話番号のメモ…。府警はこうした所持品から身元を割り出したが、ほぼ半数の人は住民票の住所地に住んでいなかったり、家族と音信不通だったり。遺体の引き受け手のない人や、身元を明かそうとしない負傷者もおり、何らかの事情を抱える境遇にあった。火災現場に居合わせた店員は「亡くなったのは常連ばかり。みんないい人だった」と肩を落とした。

「何をしてるのかなと気になっていた。家もなく転々としてたのかと思うとやるせない…」。犠牲者の大阪市内の30代男性を幼いころから見守ってきた近所の女性(63)は突然の悲報に絶句した。
 男性は10年ほど前に相次いで両親を病気で亡くし、市営住宅で弟と2人で暮らしていた。
 数年前に近くの銭湯で掃除の仕事を見つけ、「よく働く」と評判だった。しかし、銭湯は閉店。兄弟は今春、家賃の滞納で市営住宅を退居し、行方はわからなかったという。

(中略)

 ◆1日労働17時間

 心肺停止状態で救出され、意識不明になっている男性(47)は、朝7時から夕方まで定食屋、午後6時から11時過ぎまではキャバレーのホールスタッフとして働いていた。1日の労働時間は17時間前後。八尾市内に部屋を借りていたが、定食屋に近いキャッツなんば店を利用することが多かった。
 病院に見舞いに来たキャバレーの上司は「うちで働き始めてから5年半。無断欠勤は一度もなかった。事件当日は店に来ないので、まさかと思って警察に問い合わせた。彼はこちらが心配するぐらい一生懸命働いていた。なぜそんなに働くのかと聞くと、『高齢の両親の面倒をみるためお金が必要だから』と答えていた」と振り返った。
 しかし、実際には、男性は数年前に奈良県の実家を出たきり、音信不通だったという。
(後略)』



他にも、中小企業の社長が大阪出張の折の経費節減ために利用していた例などもあった。現場に、約束の場所に来なかったネカフェ難民の仕事仲間を探しのきた人がいたとも報じられている。

本来宿泊施設ではない個室ビデオ店での寝泊り。
警察や消防は、店側の避難体制・排気経路を閉鎖する店内改装などを問題にしているようだが、根本的には彼等がそこに泊まらざるを得なかった事が問題なのではないか。
寝ていなければ、本来のこの店の目的であるビデオ鑑賞のために来店していたのなら、彼等の大半は、最初の叫び声で脱出開始出来たと思うのだ。
安い店が悪いのではなかろう。
カプセルでもなんでも、法的に規制される、ちゃんとした宿泊施設に泊まれる金が、彼等に無かったことが問題なのではないのか。
今後、消防の方の検査体制・基準が強化されるだろうし、悪い事ではないと思うのだが、それで今回の事件での店・ビル側の刑事責任を問うのは、行き過ぎのように感じる。
責任の所在を問うというより、どうにもならない現実を誤魔化すために、無理矢理個人の責任を追及している(スケープゴートを捏造している)ように感じてしまうのは、気のせいだろうか?
そして、それは本当に「どうにもならない現実」なのか?

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この記事へのコメント
確かに建築上の問題だけでなく,社会そのものも問題も合わさった結果といえますね.
ぱっと見,最初は単に○○ビデオを見に来た客なのだろうと思ってたのですが,現実はそうではなかった...
不運です.
Posted by Ritchie at 2008年10月12日 06:08
Ritchieさん
不運と云っていいでしょうね。
それと、ざっと調べてみたのですが、大阪のカピセルホテル、だいたい1泊3000円程度です。最低料金のところでは2300円でした。
1500円だったという件のビデオショップの深夜料金。
たった800円を惜しまなければならなかった人達の存在が、悲しいです。
Posted by 壇那院 at 2008年10月13日 03:55
まず、以前東京で起きた似たようなビル火災の教訓が
まったくなされていませんね、今回の事件は放火とはいえ
2度目なんですから、許されないことだと思います。

社会が24時間動くようになってきて当然商用施設も24時間営業の
時代です。実際にDVD見なくても、寝てても料金は一緒、しかも24時間
営業という業態に、法令が追いついていない印象を受けます。

この事件の店でもきちんと避難誘導、避難口が的確であれば、あれだけ
の死者は出なかったはず。

わたしも実際に亡くなった方たちの実態を報道で知って、何とも言葉が
出ませんでした。 全国にこういう事件はこれからも起こりえると
思いました、放火だけに予測は出来ませんから。非常に怖いことです。

わたしも比較的、安い物件に泊まることあるので避難経路は今以上に
事前チェックしておきたいと思います。
Posted by manbow at 2008年10月13日 13:05
まんぼうさん
終夜営業の店舗には、それなりの消防施設と避難体制が設定されなければならないのですが、このビデオショップはそれを怠っていたのも歴然としていますね。

それでも、1000円にも満たない金額をケチって、より厳しい消防設備・体制が要求され、検査も厳密な宿泊所を忌避しなければならない人が、これだけいたということは、どこか世の中間違っていると感じてしまいます。
Posted by 壇那院 at 2008年10月15日 02:26
 
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    コメント(4)