2009年11月11日
デジタル・ステレオ・カメラ
デジタルカメラとは思えない外観だが、型名の「3D」の表記を見れば、それも納得する。昔風の云い方をするのなら、ステレオ写真用のカメラなのだ。
つまり、2箇所で撮影した同被写体の写真を合成して立体感を得るタイプの写真専用カメラである。
当ったのがステレオ・タイプと知って、小生はある短編小説を思い出した。
高齊正という、古手のSFマニアならご存知の、乗物/カメラマニアで有名な作家の短編で、「透け透けカメラ」という短編集に収載されている。(だが、ちょっとすぐ出て来ないので、題名が判らない) この短編に登場するステレオ写真というのが、かなり古い時代のモノクロで、ほぼ戦前のものなのだ。そんな古い時代からあったのかと疑うが、この作家は技術的な記述で未来にフィクションはするが、過去の歴史にフィクションは持ち込まないので定評があった人だ。ちょっと調べてみると、ほぼ史実であった。
当然、銀塩フィルムカメラ全盛の時代である。
で、今回また、調べてみたら、さらにステレオカメラについてのサイトが、本を入手した2003年当時より多数見付かった。(前回はどうもキイワードが悪かったらしい)
ただ、銀塩フィルム時代の所謂ステレオカメラは、2枚の写真を同時に撮るだけのことで、その2枚の写真を並べて同時に両目で見るための、専用のヴューワが必要だった。(訓練すれば裸眼でも立体視出来るようになるんだそうだが、今のところ小生は成功していない)
つまり、見るのに専用の道具は要るは、現像代も印画紙代も2倍かかるは、古代から一般的な絵画の飾り方(壁に掛ける)が出来ないわと、デメリットも多かったのだ。どうしたって金持ちの道楽じみた存在になってしまうのだが、軍事偵察用や測量用写真にはかなり重宝なので、公用として日本では普及した様である。が、ものの本によるとモノクロ写真全盛の時代、アメリカなどでは一部個人用として普及し、その勢いはカラー写真の時代になっても続き、35ミリフィルム全盛になった現代まで、2枚のプリントを同時に見(脳内合成し)て、立体画像を得る方式の撮影法は続いている。
で、デジタルカメラの出現となるのだが……。
ここで、技術史的には空白期間が生じた様なのだ。少なくとも、スチル写真の分野では。
銀塩フィルム用ステレオカメラの最新のモデルが発売されたのは、Wikiで調べた限りでは、なんと日本での発売2006年8月21日という代物がある。今でもマニア間では楽しまれているのだ。
又、1940年代以降、ムーヴィー・カメラの方もどちらかと云うと例の赤緑のフィルター眼鏡を視聴者(観客)が掛ける、古くからの方式(アナグリフ方式と云うのだそうだ)でずっと来ており、こと映像技術という事では、つい最近デジタル3D技術が出て来るまでは、スチル写真と50歩100歩の進歩だった様である。(現在、偏光フィルター又は液晶シャッター駆動の眼鏡を用いる方式が出て来ている)
で、最近公開ベースに載せられる程デジタル3Dムーヴィー技術が進歩して来たのに後押しされたか、7,8年前から3Dディスプレイ技術の開発が進んでいたのが商業・量産ベースにやっと載ったのか、今回やっとデジタル3Dスチルカメラが発売になったのである。
11月7日に届いた。
この画像より富士フィルムHPで見てもらった方が判り易いだろうが、対物レンズが2個並列にある、古典的なステレオカメラのスタイルを持っているカメラである。保存される画像データのフォーマットは、一般的なJPEGではなく、3D(ステレオ)画像用のMPOである。(こんな規格がもう出来ていたのだ。検索したら英語圏のサイトがゴマンとヒットした)これにJPG画像が左画像としてプラスされる様だ。MPOファイルがJPGの右画像に視差等の2枚合成時の付帯データが付け加わったものな様である。だいたい、同じ画像のJPGの倍の容量を喰う。
8日の日曜日にカミさんと末っ娘とラテで、例の野山北公園に試し撮りに行って来た。詳しくは、カミさんの方を見てもらうとして、容量があまりに大きいので、こちらではダウンサイズした2D画像を載せておく。
アスレチックの森での末っ娘。ラテを抱いて
専用3Dディスプレイ(デジタルフォトフレーム)で1つの画像として映して、それが立体に見えるのだそうだが、カメラ背面のモニターにもその機能はある様で、2.3インチでも充分立体感(奥行感)が感じられる。
2000年の春にあった、「ハイテク東京」というイヴェント(展示会)で、メーカーは忘れたが、この専用フォトフレームの原型になったと思しき、2インチ程度の小型液晶ディスプレイの展示を見ているので、どんな見え具合なのかは、大体想像がついたが、8インチの大きな画面だとどうなのだろうか……?
今のところ専用駆動回路が必要なのだろう。普通の液晶モニターで3D画像化するソフトなどはまだ無い様だ。MPOファイルからJPG右画像を切り出すソフトは見付けたので、もともとJPGの左画像と並列表示すれば、一応このLOG上でも並行視法でのステレオ表示は出来るはずである。
第一、持ち主の小生一家からして、大画面での3D表示は見られない。カメラは今回当たったからいいようなものの、この専用フォトフレーム、実勢価格で4.3~5.2万円もするのだ。まだまだお高い買い物である。2年もしたら廉価版が出るだろうと期待しよう。
つまり、2箇所で撮影した同被写体の写真を合成して立体感を得るタイプの写真専用カメラである。
当ったのがステレオ・タイプと知って、小生はある短編小説を思い出した。
高齊正という、古手のSFマニアならご存知の、乗物/カメラマニアで有名な作家の短編で、「透け透けカメラ」という短編集に収載されている。(だが、ちょっとすぐ出て来ないので、題名が判らない) この短編に登場するステレオ写真というのが、かなり古い時代のモノクロで、ほぼ戦前のものなのだ。そんな古い時代からあったのかと疑うが、この作家は技術的な記述で未来にフィクションはするが、過去の歴史にフィクションは持ち込まないので定評があった人だ。ちょっと調べてみると、ほぼ史実であった。
当然、銀塩フィルムカメラ全盛の時代である。
で、今回また、調べてみたら、さらにステレオカメラについてのサイトが、本を入手した2003年当時より多数見付かった。(前回はどうもキイワードが悪かったらしい)
ただ、銀塩フィルム時代の所謂ステレオカメラは、2枚の写真を同時に撮るだけのことで、その2枚の写真を並べて同時に両目で見るための、専用のヴューワが必要だった。(訓練すれば裸眼でも立体視出来るようになるんだそうだが、今のところ小生は成功していない)
つまり、見るのに専用の道具は要るは、現像代も印画紙代も2倍かかるは、古代から一般的な絵画の飾り方(壁に掛ける)が出来ないわと、デメリットも多かったのだ。どうしたって金持ちの道楽じみた存在になってしまうのだが、軍事偵察用や測量用写真にはかなり重宝なので、公用として日本では普及した様である。が、ものの本によるとモノクロ写真全盛の時代、アメリカなどでは一部個人用として普及し、その勢いはカラー写真の時代になっても続き、35ミリフィルム全盛になった現代まで、2枚のプリントを同時に見(脳内合成し)て、立体画像を得る方式の撮影法は続いている。
で、デジタルカメラの出現となるのだが……。
ここで、技術史的には空白期間が生じた様なのだ。少なくとも、スチル写真の分野では。
銀塩フィルム用ステレオカメラの最新のモデルが発売されたのは、Wikiで調べた限りでは、なんと日本での発売2006年8月21日という代物がある。今でもマニア間では楽しまれているのだ。
又、1940年代以降、ムーヴィー・カメラの方もどちらかと云うと例の赤緑のフィルター眼鏡を視聴者(観客)が掛ける、古くからの方式(アナグリフ方式と云うのだそうだ)でずっと来ており、こと映像技術という事では、つい最近デジタル3D技術が出て来るまでは、スチル写真と50歩100歩の進歩だった様である。(現在、偏光フィルター又は液晶シャッター駆動の眼鏡を用いる方式が出て来ている)
で、最近公開ベースに載せられる程デジタル3Dムーヴィー技術が進歩して来たのに後押しされたか、7,8年前から3Dディスプレイ技術の開発が進んでいたのが商業・量産ベースにやっと載ったのか、今回やっとデジタル3Dスチルカメラが発売になったのである。
11月7日に届いた。
この画像より富士フィルムHPで見てもらった方が判り易いだろうが、対物レンズが2個並列にある、古典的なステレオカメラのスタイルを持っているカメラである。保存される画像データのフォーマットは、一般的なJPEGではなく、3D(ステレオ)画像用のMPOである。(こんな規格がもう出来ていたのだ。検索したら英語圏のサイトがゴマンとヒットした)これにJPG画像が左画像としてプラスされる様だ。MPOファイルがJPGの右画像に視差等の2枚合成時の付帯データが付け加わったものな様である。だいたい、同じ画像のJPGの倍の容量を喰う。
8日の日曜日にカミさんと末っ娘とラテで、例の野山北公園に試し撮りに行って来た。詳しくは、カミさんの方を見てもらうとして、容量があまりに大きいので、こちらではダウンサイズした2D画像を載せておく。
アスレチックの森での末っ娘。ラテを抱いて
専用3Dディスプレイ(デジタルフォトフレーム)で1つの画像として映して、それが立体に見えるのだそうだが、カメラ背面のモニターにもその機能はある様で、2.3インチでも充分立体感(奥行感)が感じられる。
2000年の春にあった、「ハイテク東京」というイヴェント(展示会)で、メーカーは忘れたが、この専用フォトフレームの原型になったと思しき、2インチ程度の小型液晶ディスプレイの展示を見ているので、どんな見え具合なのかは、大体想像がついたが、8インチの大きな画面だとどうなのだろうか……?
今のところ専用駆動回路が必要なのだろう。普通の液晶モニターで3D画像化するソフトなどはまだ無い様だ。MPOファイルからJPG右画像を切り出すソフトは見付けたので、もともとJPGの左画像と並列表示すれば、一応このLOG上でも並行視法でのステレオ表示は出来るはずである。
第一、持ち主の小生一家からして、大画面での3D表示は見られない。カメラは今回当たったからいいようなものの、この専用フォトフレーム、実勢価格で4.3~5.2万円もするのだ。まだまだお高い買い物である。2年もしたら廉価版が出るだろうと期待しよう。
Posted by 壇那院 at 01:51│Comments(4)
│アイテム/道具?
この記事へのコメント
ステレオと聞いて音声かと思いきや,そういうことですか!
ええもん当たりましたねー.
ええもん当たりましたねー.
Posted by Ritchie at 2009年11月13日 05:40
Ritchieさん
そう。いい物当たりました。
使いこなせるか心配ですよ。
今度、適当な被写体でアップしてみますよ。
そう。いい物当たりました。
使いこなせるか心配ですよ。
今度、適当な被写体でアップしてみますよ。
Posted by 壇那院 at 2009年11月13日 19:39
このカメラ、私はぜんぜん知りませんでした。
「当たったのか、いいなぁ~」と思って、いろいろ調べて
いたら、実に非凡なブツですね、コレ。
まず、デザインがカッコイイですね、ブルーに光る文字も少々
やり過ぎ感はありますが、あんまりこういうのはないですよね。
私の好きそうなギミックです(笑)
正直、3Dにはあまり興味はないのですが、ツインレンズで同じ
被写体を違う条件で撮れる機能はいいかな、と思いました。
でも、2Dだとオート撮りだけなんですかね(?)
2台分の内容だからなのか、安くはないですね、でも、物自体を
店でもあまり見かけないような気がします。
「当たったのか、いいなぁ~」と思って、いろいろ調べて
いたら、実に非凡なブツですね、コレ。
まず、デザインがカッコイイですね、ブルーに光る文字も少々
やり過ぎ感はありますが、あんまりこういうのはないですよね。
私の好きそうなギミックです(笑)
正直、3Dにはあまり興味はないのですが、ツインレンズで同じ
被写体を違う条件で撮れる機能はいいかな、と思いました。
でも、2Dだとオート撮りだけなんですかね(?)
2台分の内容だからなのか、安くはないですね、でも、物自体を
店でもあまり見かけないような気がします。
Posted by manbow at 2009年11月14日 10:21
まんぼうさん
実際、使い方は今考えているところでして、今のところは3Dより2枚撮りの方で考えているところです。
店頭にはあまり置いてないですねぇ。カミさんが一度、近所の量販店で見ただけで、小生は見たことありません。
実際、使い方は今考えているところでして、今のところは3Dより2枚撮りの方で考えているところです。
店頭にはあまり置いてないですねぇ。カミさんが一度、近所の量販店で見ただけで、小生は見たことありません。
Posted by 壇那院 at 2009年11月17日 22:38