ハイテク三重製品、三重で歴史的遺物となる

壇那院

2010年06月21日 23:09

味馬鹿次男の帰省の記事を書いていて、思い出した事がある。
 
3月24日に別れてから1箇月近く、電話すらして来なかった味馬鹿が、やっと連絡して来たのは小生の携帯にだった。
4月18日の日曜日だったと思うのだが、昼間、カミさんとスーパーに買い物に出ている最中、売り場のど真ん中で、突然携帯が鳴ったのだ。
ディスプレイには見覚えの無い05で始まる番号が表示されている。
次男の会社からか? あの会社、業務用にIP電話を入れてるのかな?
出てみると、案の定味馬鹿次男だった。
いきなり 「俺の携帯番号って何番だっけ?」 ときたものだ。
はて。
掛けて来た電話番号は聞いた事が無いし、どうしたのだろう?
「会社から電話してるのか? 携帯じゃないけど」
「いや、関のドコモショップから」
「ふ~ん、判った。今、外だから、一旦切るぞ。携帯の電話帳見ないと判らんからな」
一旦切って、携帯の電話帳で味馬鹿の携帯番号を確認する。こういう時、マルチタスクで動かない古い携帯は、PDAとしては不便だ。
味馬鹿が掛けて来た番号に、折り返し電話する。関のドコモショップの代表電話だろう。受付に先ず掛かるはずで、その通りになる。そこで、客としてこの様な者がいるはずだからつないでくれるように頼んで、味馬鹿とつながった。
番号を教えて、どうしたと訊く。携帯を紛失したのは確かだろうが、それ以上が判らない。
無くしたのがどこなのかははっきりしていて、しかも悪用される危険性は皆無なのだそうだ。それで、単純に買い替えることにしたのだが、FOMAカードごと失くしたので、ちょっと面倒なのだとのこと。まだ活きている古い方を停止するにしても、番号が判らなければハナシにならない。
こっちもまだ買い物の最中なので、あまり詳しくは訊かずに、後で電話すると言って電話を切ったのだった。

で、晩飯の後で電話してみたのだが、この時点でもう、味馬鹿は三重の山の中の寺の改修工事(基礎部分の交換)の作業班に配置されて、飯場暮しをしていたそうなのである。正確には4月に入ってすぐからだったようだ。
メインは腐りかかった柱の下部を切り取って交換する工事だが、これには建物全体のジャッキアップが必要になる。
当然、ジャッキアップの際に建物の内部の緩みが、歪みとして顕在化しやすい。特に屋根がそうだ。
で、基礎交換とセットで屋根の補修工事が行われる。
当然のように、瓦葺きの屋根なのだそうだ。
そこに資器材運びの助手(=手許(てもと)と云う)として屋根上りをさせられた味馬鹿は、実は親父に似て高所恐怖症なのだ。
へっぴり腰で屋根に上って先輩達に怒鳴られまくっているうちに、屋根の上で携帯を落としてしまったのだそうだ。
その携帯は地面には落ちず、緩んだ屋根瓦の間から、屋根の内部に入り込んでしまったのだという。
屋根を解体しない限り、自分の携帯は見付からないだろうと言うのだから、いわゆる「屋根裏」に落ち込んではいないという事だ。

つまり、味馬鹿の携帯は歴史的建造物の中の「遺物」となってしまったのである。
次にこのお堂が本格的補修工事を受けるのは、100年以上後になるかも知れない。その時、屋根の中から出て来た味馬鹿の携帯は、その時代の宮大工達に、どう見られるのだろうか。

思わず笑ってしまったのだった。


ところで、この時紛失した味馬鹿次男の携帯、三重県亀山にハイテク巨大工場を持っていることで知られる、シャープの製品であった。
これも縁というものなのだろうか。
さらに笑ってしまった、この親父なのであった。
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